展望
眼皮膚白皮症の生活指導 遺伝子診断症例を経験して
鈴木 民夫
1
,
阿部 優子
1山形大学 医学部皮膚科学教室
キーワード:
眼皮白子症
,
Melanins
,
検眼鏡検査
,
紫外線
,
視覚障害
,
生活指導
Keyword:
Melanins
,
Ophthalmoscopy
,
Vision Disorders
,
Ultraviolet Rays
,
Albinism, Oculocutaneous
pp.992-997
発行日 2014年11月1日
Published Date 2014/11/1
DOI https://doi.org/10.24733/J01268.2015043927
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
メラニンは,ヒトの皮膚の色調を決定しているもっとも重要な色素であり,複雑な組成をもつ高分子化合物である.表皮基底層に存在するメラノサイト内の細胞内小器官であるメラノソーム内で合成される.黒色のユーメラニン(eumelanin:真性メラニン)と黄色のフェオメラニン(pheomelanin:黄色メラニン)の2種類が存在し,細胞内ではこれら2種類のメラニンが混じり合い, その生成過程で生じる中間代謝産物とも結合して巨大なポリマーとなり,さらにメラノソーム構造蛋白も巻き込んでメラニン蛋白複合体として存在している.溶媒に不溶性であり, 構造が不規則であり,加水分解により単量体に分解するのも困難である.このような特異的で複雑な構造ゆえに,メラニンは光の吸収と発散,フリー・ラジカル補捉,熱の保持などの多様な機能をもつことが知られている.このメラニン合成およびメラノソーム生成にかかわる遺伝子に変異が生じた場合,皮膚・毛髪・眼のメラニン色素が欠乏または欠損し,眼皮膚白皮症(oculocutaneous albinism:OCA)が発症する.本稿では,最近,新しく報告されたOCA5~7型症例の紹介と,当科で経験したOCA患者に対しての生活指導について概説する.(「はじめに」より)
Copyright© 2014 KYOWA KIKAKU Ltd. all rights reserved.