治療
潰瘍の局所陰圧閉鎖療法
市岡 滋
1
1埼玉医科大学 形成外科学教室
キーワード:
手術創離開
,
皮膚潰瘍
,
陰圧閉鎖療法
Keyword:
Surgical Wound Dehiscence
,
Skin Ulcer
,
Negative-Pressure Wound Therapy
pp.667-671
発行日 2014年7月1日
Published Date 2014/7/1
DOI https://doi.org/10.24733/J01268.2014295767
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創傷はさまざまな観点から分類されるが,臨床においては急性創傷と慢性創傷とに分類するのが実用的である.創傷は,1)出血凝固期,2)炎症期,3)増殖期,4)成熟期という秩序立った4つの段階を基本とするプロセスを経て治癒する.新鮮外傷や手術創に代表される急性創傷の多くはこの創傷治癒過程が正常に稼働することが期待される.これに対し,高齢者や糖尿病を代表とする生活習慣病の増加を背景にする創傷が注目されている.これらの創傷は,急性創傷(acute wound)に対して慢性創傷(chornic wound)と称され,褥瘡,糖尿病性潰瘍,静脈うっ滞性潰瘍,虚血性潰瘍,放射線潰瘍,自己免疫性疾患に伴う潰瘍などが代表的なものである.また耐性菌の蔓延による手術部位感染(surgical site infection;SSI)・術後創離開はしばしば外科系診療科で問題となる.戦争,銃器,災害,交通事故等による,損傷の激しい複雑性外傷は世界的な課題である.このように既存の治療法のみでは治療がむずかしい創傷を難治性創傷と呼ぶ.この約15年間,難治性創傷に対する画期的な治療法として局所陰圧療法が世界中に広まった.(「はじめに」より)
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