特集 全身症状を伴う皮膚疾患(2)
臨床例
クリオグロブリン血症性紫斑から多発性骨髄腫の診断に至った例
早川 順
1
,
小松 由莉江
,
塩原 哲夫
1杏林大学 医学部皮膚科学教室
キーワード:
クリオグロブリン血症
,
骨髄腫-多発性
,
紫斑病
,
静脈炎-血栓性
,
鑑別診断
,
皮膚疾患-下肢
Keyword:
Diagnosis, Differential
,
Cryoglobulinemia
,
Leg Dermatoses
,
Multiple Myeloma
,
Purpura
,
Thrombophlebitis
pp.869-872
発行日 2013年9月1日
Published Date 2013/9/1
DOI https://doi.org/10.24733/J01268.2014082398
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
<症例のポイント>寒冷に曝露後の皮疹の急激な出現と特異な分布からクリオグロブリン血症を疑い、それを手がかりに多発性骨髄腫と診断しえた症例を経験した。初診時、紫斑と網状皮斑が下腿内側から膝窩、足趾を中心に分布していたが、下腿伸側には皮疹を認めず、約1ヵ月の間に下腿伸側に拡大した。自験例では初発疹が下腿内側に限局していたのが特徴的であった。下腿内側に限局して発症した原因として、部位による血流量や皮膚温の差、局所圧迫の程度などが関与している可能性が考えられた。皮膚症状のみから多発性骨髄腫を疑うことは困難であるが、特異な皮疹の分布を示す紫斑や網状皮斑を診察した場合は、多発性骨髄腫の可能性を念頭に入れ、診察にあたる必要がある。
Copyright© 2013 KYOWA KIKAKU Ltd. all rights reserved.