治療
全身性強皮症に伴う難治性皮膚潰瘍に対する当科でのボセンタンの使用経験
谷口 隆志
1
,
浅野 善英
,
佐藤 伸一
1東京大学 医学部皮膚科学教室
キーワード:
チアノーゼ
,
強皮症-全身性
,
皮膚潰瘍
,
治療成績
,
Bosentan
Keyword:
Cyanosis
,
Scleroderma, Systemic
,
Skin Ulcer
,
Treatment Outcome
,
Bosentan
pp.981-984
発行日 2013年10月1日
Published Date 2013/10/1
DOI https://doi.org/10.24733/J01268.2014038314
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既存の治療に対し抵抗性をもつ指尖部以外の皮膚潰瘍を有する全身性強皮症(SSc)患者5例(年齢45~80歳)を対象に肺高血圧症治療薬・ボセンタンの有用性について検討した。ボセンタンは125mg/日投与から開始し、副作用が許容範囲内であれば4週間後に250mg/日に増量した。潰瘍がすべて上皮化した段階で治癒と判断したところ、5例中3例が4~5ヵ月で潰瘍が治癒した。奏効した3例の臨床的特徴としては全例で潰瘍周辺にチアノーゼを伴っており、治癒が得られなかった症例では潰瘍周囲にチアノーゼはみられなかった。一方、血管画像検査を施行した2例では下腿の中動脈の多発狭窄と末梢血管が描出不良であったが2例とも潰瘍が治癒していた。以上より、潰瘍周囲のチアノーゼの存在は発症機序にET-1の関与が示唆され、ボセンタンには血管拡張の機能的作用のみでなく血管の器質的な変化を改善する作用を示唆していると考えられた。
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