特集 総排泄腔遺残症
総排泄腔遺残症の小児期の治療戦略と課題
荒井 勇樹
1
,
木下 義晶
1
Yuhki Arai
1
,
Yoshiaki Kinoshita
1
1新潟大学大学院小児外科
pp.1140-1144
発行日 2025年11月25日
Published Date 2025/11/25
DOI https://doi.org/10.24479/ps.0000001367
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はじめに
総排泄腔遺残症は,女児に発生する先天性泌尿生殖器奇形のなかでももっとも複雑で重篤な形態異常の一つである。発生頻度は約2万~5万出生に1例とされ,女児のみに発生する。症状の重症度は,共通管の長さに依存し,腸管,泌尿器系,生殖器系の解剖学的特徴や奇形の程度は多様である。そのため,治療方針は症例ごとに異なり,小児外科,泌尿器科,産婦人科などの多診療科による包括的診療が必須である。2017年にわが国で初めて,総排泄腔遺残症を含む先天性難治性稀少泌尿生殖器疾患群のスムーズな成人期医療移行のためのガイドラインが作成され,図1のような診療アルゴリズムが提唱された1)。

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