特集 再手術の戦略と実際
総排泄腔遺残症の再手術の戦略と実際
中原 康雄
1,2
,
向井 亘
1,2
,
後藤 隆文
1,2
,
青山 興司
1,2
Nakahara Yasuo
1,2
,
Mukai Wataru
1,2
,
Goto Takafumi
1,2
,
Aoyama Koji
1,2
1岡山医療センター小児外科
2中国四国小児外科医療支援機構
pp.697-700
発行日 2024年7月25日
Published Date 2024/7/25
DOI https://doi.org/10.24479/ps.0000000880
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はじめに
総排泄腔遺残症の治療は,最良の術式や方針が依然として定まっておらず,また合併症は少なくない。したがって,再手術を必要とする場面は多岐にわたり,症例ごとに適切な方法を選択することになる。再手術が必要な状況を大きく分けると,多段階手術の一つとしての再手術と,術後合併症に対する再手術となる。前者は乳幼児期に直腸のみをpull-throughした場合に尿生殖洞が遺残している状況,成長過程で発見されたMüller管奇形,排尿障害への対応が必要な状況である。後者に関しては,表のようにLevittらが報告しており1),直腸肛門の狭窄・位置異常・粘膜脱,膣や尿道の閉鎖・狭窄,瘻孔などのさまざまな合併症を有する状況である。またVersteeghらは,システマティックレビューで本症における術後合併症は30%と高頻度に認めたとしている2)。当科で治療を行っている総排泄腔遺残症の症例においても再手術を含め,複数回の手術を施行していることが少なくない3)。
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