特集 小児外科疾患の発生を考える
先天性囊胞性肺疾患
松岡 健太郎
1
Kentaro Matsuoka
1
1東京都立小児総合医療センター病理診断科
pp.802-806
発行日 2025年8月25日
Published Date 2025/8/25
DOI https://doi.org/10.24479/ps.0000001275
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はじめに
肺の発生は胎生4週末から5週初めにかけて,前腸の腹側壁を構成する内胚葉から肺芽(呼吸器憩室)が出現することで始まる。肺芽は中枢側では気管や主気管支などの中枢気道に,末梢側では細気管支や肺胞などのガス交換部位へと分化する。この発生段階における異常は,さまざまな先天性囊胞性肺疾患(congenital cystic lung disease:以下,CCLD)の原因となる(表)。CCLDは出生前診断の普及とともに発見される機会が増加し,小児外科,周産期医療,病理診断などの分野において注目される関心領域となっているが,その発生機序に関する統一的理解はいまだ十分には得られていない1,2)。

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