Japanese
English
連載 呼吸機能障害を来す病態の画像・9
囊胞性肺疾患
Cystic Lung Disease
鈴木 一廣
1
,
瀬山 邦明
2
,
飛野 和則
3
,
桑鶴 良平
1
Kazuhiro Suzuki
1
,
Kuniaki Seyama
2
,
Kazunori Tobino
3
,
Ryohei Kuwatsuru
1
1順天堂大学医学部放射線診断学講座
2順天堂大学医学部呼吸器内科学講座
3飯塚病院呼吸器内科
1Department of Radiology, Juntendo University School of Medicine
2Department of Respiratory Medicine, Juntendo University School of Medicine
3Department of Respiratory Medicine, Iizuka Hospital
pp.868-872
発行日 2014年9月15日
Published Date 2014/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404102559
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はじめに
「(肺)囊胞」あるいは「ブラ」は胸部画像で日常的に遭遇する所見だが,詳細な解釈や検討が行われないことが多い.「囊胞:cyst」は病理学上,「単層の上皮に覆われる水や空気を含む球状の病変」と定義される.空気を含む,というその性質より,胸部X線写真ではコントラストが得られにくく,発見が難しいことが多いため,CTによる評価が適している.放射線学的には「(肺)囊胞:cyst」は「通常2mm未満の様々な厚さの壁で境界された低吸収域で,肺気腫と関連のないもの」と定義されている1)(なお,この定義では,「ブラ:bulla」は「1cmのサイズで壁は1mm未満で,通常は背景に気腫を伴う」としている).そして,肺囊胞を主病変とする疾患群を「囊胞性肺疾患」と呼ぶ2).囊胞性肺疾患の代表としてリンパ脈管筋腫症(lymphangioleiomyomatosis;LAM),Birt-Hogg-Dubé症候群(Birt-Hogg-Dubé syndrome;BHDS),ランゲルハンス細胞組織球症(Langerhans cell histiocytosis;LCH)があり,それぞれ画像所見の特徴が異なる3).これは疾患ごとに肺囊胞形成のメカニズムが異なるためと推測される.
本稿ではLAM,BHDS,LCHについてその疾患の臨床的背景および囊胞の成り立ちと画像所見との対比を中心に概説する.
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