特集 Hirschsprung病
【術後管理,その他】
Hirschsprung病と一酸化窒素(NO)作動性神経との関連についての病理組織学的検討
伊藤 佳史
1,2
,
下島 直樹
2,3
,
松岡 健太郎
4
Yoshifumi Ito
1,2
,
Naoki Shimojima
2,3
,
Kentarou Matsuoka
4
1東京科学大学(東京医科歯科大学)小児外科
2東京都立小児総合医療センター外科
3国立成育医療研究センター小児外科系専門診療部外科
4東京都立小児総合医療センター病理診断科
pp.321-325
発行日 2025年3月25日
Published Date 2025/3/25
DOI https://doi.org/10.24479/ps.0000001137
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
腸管神経系(enteric nervous system:ENS)は,形態,投射経路,神経伝達物質に基づきさまざまなサブタイプの神経細胞が存在し,それぞれが重要な機能を担っている1)。なかでも,興奮性と抑制性運動神経は,腸管の平滑筋に作用して,消化管運動障害との関連が指摘されている1,2)。主要な抑制性の神経伝達物質として,非アドレナリン非コリン(non adrenergic non cholinergic:NANC)シグナル伝達を代表する一酸化窒素(nitric oxide:NO)が挙げられる3)。抑制性神経細胞内で,神経型一酸化窒素合成酵素(neuronal nitric oxide synthase:nNOS)は,Ca2+/カルモジュリンによって活性化され,NOを産生する。NOは筋細胞内のcGMP合成を増加させ,平滑筋を弛緩させる4,5)(図1)。

© tokyo-igakusha.co.jp. All right reserved.