特集 これならわかる性分化疾患
基礎知識
性染色体性性分化疾患
糸永 知代
1
Tomoyo Itonaga
1
1大分大学医学部小児科
pp.1270-1276
発行日 2023年12月25日
Published Date 2023/12/25
DOI https://doi.org/10.24479/ps.0000000653
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はじめに
染色体の性は,受精卵が有する性染色体の構成により決まり,基本的にY染色体の有無からその後の性腺の性分化の方向が決定される。性染色体の違いによる性分化疾患(DSD)は性染色体性DSDと呼称され4つの核型があげられている(表1)1,2)。45,Y細胞株は生存不可能であり存在しない。Y染色体が存在しない古典的Turner症候群やKlinefelter症候群では,通常,外性器は典型的であるため,多くの症例では思春期または成人期に,特徴的な徴候,思春期の異常,または不妊を契機に診断に至る。一方,45,X/46,XYや46,XX/46XYの核型の場合,Y染色体またはY染色体断片がすべての細胞ではなく一部の細胞に存在し,幅広い表現型を呈する。そのため,出生時に両性の内性器・外性器をもち,「非典型的な外性器」を呈するDSDの新生児として認識されることがある。
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