特集 喉頭・気管病変 治療の工夫と予後
声門下腔狭窄に対する耳鼻科的アプローチ
守本 倫子
1
Noriko Morimoto
1
1国立成育医療研究センター耳鼻咽喉科
pp.1070-1074
発行日 2023年10月25日
Published Date 2023/10/25
DOI https://doi.org/10.24479/ps.0000000604
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はじめに
小児の声門下狭窄の原因は先天性と後天性のどちらもある。先天性では,胎生12週までに輪状軟骨が輪状に成熟しなかったことにより喉頭の内腔が全く開いていない,または小さな穴が開いている程度となる。一方,後天性では,新生児期の声門~声門下への長期挿管,挿管中の感染や胃食道逆流などによりチューブ周囲に炎症が生じ,瘢痕狭窄をきたすとされている。声門下狭窄の頻度は新生児の挿管の1~2%とされており,長期挿管されたことが主に原因となり,挿管期間が5日延びるごとに声門下狭窄の発症リスクが約50%ずつ上昇するという報告がある1)。軽度の狭窄であれば,成長とともに症状が改善してくるため,年少時の感冒罹患などに注意が必要である。ただし,中等度以上の狭窄になると喘鳴やチアノーゼが強く,気管切開が必要となる。気管切開管理を受けている小児の声門下狭窄の治療の目的は,①発声ができるようになる,②気管カニューレが閉塞,事故抜去したとしても窒息しない,③気管カニューレを抜去できる,といくつかの段階に分けられる。小児の声門下狭窄の治療では,就園や就学など児の社会的な環境を考慮しつつ,発達やQOLにも重点を置きながら手術の方法や時期を検討していくことが大切である。
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