特集 小児外科疾患に関連する症候群
4p欠損症候群(Wolf-Hirschhorn症候群)
佐藤 英章
1
,
渡井 有
1
,
田山 愛
1
,
中山 智理
1
,
大澤 俊亮
1
,
木村 翔大
1
,
富永 美璃
1
,
安達 聖
1
,
中神 智和
1
,
尾方 信仁
1
Hideaki Sato
1
,
Yu Watarai
1
,
Ai Tayama
1
,
Noriyoshi Nakayama
1
,
Shunsuke Oosawa
1
,
Shouta Kimura
1
,
Miri Tominaga
1
,
Sei Adachi
1
,
Tomokazu Nakagami
1
,
Nobuhito Ogata
1
1昭和大学医学部外科学講座小児外科学部門
pp.458-461
発行日 2023年4月25日
Published Date 2023/4/25
DOI https://doi.org/10.24479/ps.0000000427
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
Ⅰ.定 義
Wolf-Hirschhorn症候群(WHS)は,4番染色体短腕遠位部(4p16.3領域)に存在する複数の遺伝子の欠失に起因し,特徴的顔貌,成長障害,精神運動発達遅滞,およびけいれんを主徴とする隣接遺伝子症候群である。疾患頻度は約1/20,000~50,000出生と推定されており,男女比は1:2と女児が多い1,2)。1961年にCooperとHirschhorn,1965年にWolfらによって報告され,その後1990年代に入り多くの症例のレビューや長期フォローアップ症例の報告により,臨床所見と自然歴の蓄積がなされてきた3)。基本病態としてはWHSの主要症状をきたす責任領域は4p16.3内に存在し,分子遺伝学的手法により最小欠失領域が想定され,WHS critical region(WHSCR)とWHSCSR-2が報告されている4)。このうち,WHSCRとWHSCR-2にまたがる形で存在するWHSC1と,WHSCR-2内に存在するLETM1が重要であり,WHSC1は顔貌所見や精神運動発達遅滞への関与が,LETM1はけいれん発症への関与が考えられている2)。
© tokyo-igakusha.co.jp. All right reserved.