特集 胎児治療の進歩と今後の展望
脊髄髄膜瘤胎児手術の治療
香川 尚己
1
,
渡邊 美穂
2
,
遠藤 誠之
3
Naoki Kagawa
1
,
Miho Watanabe
2
,
Masayuki Endo
3
1大阪大学大学院医学系研究科脳神経外科
2大阪大学大学院医学系研究科外科学小児成育外科学
3大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻母性胎児科学
pp.56-62
発行日 2023年1月25日
Published Date 2023/1/25
DOI https://doi.org/10.24479/ps.0000000331
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はじめに
脊髄髄膜瘤とは,胎生4~6週ごろまでに起こる神経管閉鎖障害が原因で生じる病態の一型であり,最も頻度の高い中枢神経系先天異常である。脊髄髄膜瘤は脊髄が皮膚・筋肉・脊椎に覆われずに外表に露出しており,患部以下の脊髄神経によって支配される部位の機能障害(両下肢の運動・感覚障害,膀胱直腸障害など)を呈し,水頭症やChiari奇形Ⅱ型を合併し治療を要する。妊娠前からの葉酸摂取により,脊髄髄膜瘤を含む神経管閉鎖障害の発生頻度を低下させることが判明し,欧米では発生頻度が低下してきているが,わが国では現在でも継続的に発生頻度が上昇している。
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