特集 胎児治療の進歩と今後の展望
先天性横隔膜ヘルニアに対するFETOの現状
和田 誠司
1
,
室本 仁
1
,
杉林 里佳
1
,
小澤 克典
1
,
遠藤 誠之
2
,
左合 治彦
1
Seiji Wada
1
,
Jin Muromoto
1
,
Rika Sugibayashi
1
,
Katsusuke Ozawa
1
,
Masayuki Endo
2
,
Haruhiko Sago
1
1国立成育医療研究センター周産期・母性診療センター胎児診療科
2大阪大学産婦人科,胎児診断治療センター
pp.30-34
発行日 2023年1月25日
Published Date 2023/1/25
DOI https://doi.org/10.24479/ps.0000000326
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はじめに
先天性横隔膜ヘルニア(congenital diaphragmatic hernia:CDH)は,1/3,000~1/5,0001)の頻度で発生する先天異常である。横隔膜の一部が欠損することにより腹部臓器が胸腔内を圧迫し胎内で肺低形成となり,生後に呼吸不全と遷延性肺高血圧が問題となる。軽症例の予後は比較的良好であるが重症例の生存率は低い。日本の全国調査の614例の検討では,全体の生存率が75.4%,合併奇形を伴わない単独のCDH の生存率は84.0%と報告されている2)。また生存例でも,在宅酸素療法を要する例,成長発達障害や精神発達遅延,難聴などの出生後の合併症が問題となる例がある。
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