特集 小児外科を取り巻く最新テクノロジー
消化管神経叢の生体蛍光観察
小池 勇樹
1
,
内田 恵一
2
,
井上 幹大
3
,
佐藤 友紀
1
,
長野 由佳
1
,
松下 航平
1
,
溝口 明
4
,
問山 裕二
1
Yuhki Koike
1
,
Keiichi Uchida
2
,
Mikihiro Inoue
3
,
Yuki Sato
1
,
Yuka Nagano
1
,
Kohei Matsushita
1
,
Akira Mizoguchi
4
,
Yuji Toiyama
1
1三重大学医学部附属病院消化管・小児外科
2三重県立総合医療センター小児外科
3藤田医科大学小児外科
4三重大学産官学連携講座
pp.989-993
発行日 2022年10月25日
Published Date 2022/10/25
DOI https://doi.org/10.24479/ps.0000000250
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はじめに
腸管神経系は,胎児のときに神経堤細胞が咽頭・食道の壁に遊走して,腸管神経前駆細胞へと分化する。その分化した細胞が腸管壁を口側から肛門側に向かって食道→胃→小腸→大腸→肛門へと移動しながら分化・増殖して,網目状の腸管神経叢(腸管神経ネットワーク)を形成することが基礎研究により解明されている。Hirschsprung病は,この腸管神経前駆細胞における腸管壁内の口側から肛門側への遊走が胎児期に途中で止まってしまったことが原因と考えられている。すなわち,肛門側から口側に向かって視点を変えれば,直腸から連続する無神経腸管から,有神経腸管(本来の正常腸管)へ移行する領域において移行領域(caliber change;遊走が途中で止まった領域)を認め,蠕動運動が可能な有神経腸管レベルの腸管が著明に拡張(これに伴う重度の腹部膨満と便秘症状が出現)するというのが主たる病態である。
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