特集 実践-小児の輸液
各病態における輸液の考え方 外科疾患 腸閉塞時(腸管持続吸引時)の輸液管理
小池 勇樹
1
,
内田 恵一
,
佐藤 友紀
,
長野 由佳
,
松下 航平
,
井上 幹大
,
問山 裕二
1三重大学 大学院消化管・小児外科
キーワード:
腸閉塞
,
輸液療法
,
小腸疾患
,
先天性疾患
,
幽門狭窄症-肥厚性
,
消化液
Keyword:
Intestinal Obstruction
,
Pyloric Stenosis, Hypertrophic
pp.659-662
発行日 2021年4月1日
Published Date 2021/4/1
DOI https://doi.org/10.24479/J00648.2021208468
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<Key Points>(1)腸閉塞の保存的治療では、本来消化管から再吸収されるはずの消化液が、経鼻胃管やロングチューブによる腸管内容の減圧療法によって大量に喪失するため、脱水状態のさらなる増悪や重度の電解質異常を起こす。(2)小腸における腸閉塞では、消化液は細胞外液に類似した組成をしており、HCO3-を多く含み、その喪失により代謝性アシドーシスとなるため、アルカリ成分を含むリンゲル液の投与を考慮する。(3)上部消化管の閉塞による嘔吐や経鼻胃管を用いた腸管内容減圧中では、主に胃液(HCl)の喪失により、代謝性アルカローシスに傾きやすく、アルカリ成分を含まない生理食塩水の投与を考慮する。(4)腸閉塞では、大量輸液による肺水腫発症に注意が必要なだけでなく、低Na血症に対する急激な補正は、橋中心脱髄症候群発症のリスクがあるため、欠乏量の半量補正(half correct)を意識する。
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