特集 先天性胆道拡張症up-to-date
共通管内protein plug:膵石に対する対応
浦尾 正彦
1
,
田中 圭一朗
1
,
田中 奈々
1
,
藤本 隆士
1
,
矢内 俊裕
2
Masahiko Urao
1
,
Keiichiro Tanaka
1
,
Nana Tanaka
1
,
Takashi Fujimoto
1
,
Toshihiro Yanai
2
1順天堂大学付属練馬病院小児外科
2茨城県立こども病院小児外科
pp.914-918
発行日 2022年9月25日
Published Date 2022/9/25
DOI https://doi.org/10.24479/ps.0000000236
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はじめに
先天性胆道拡張症(CBD)の初期症状には腹痛,嘔気,黄疸,肝機能障害,高アミラーゼ血症などがあるが,1969年にBabitt1)はこれらの症状の原因病態として膵・胆管合流異常(合流異常)が影響していることを報告した。CBDの診断において内視鏡的逆行性膵胆管造影(ERCP)や磁気共鳴胆道膵管造影(MRCP)を行った際に合流異常を確認することが多いが,さらに胆道内の蛋白栓が陰影欠損として認められることがある(図1)。合流異常はこの蛋白栓形成にも関与していると考えられている。KanekoらはCBDの種々の症状を引き起こす直接の原因は,むしろ蛋白栓であることを臨床経過から考察している2)。つまり,① CBDにおける腹痛は一過性であり,また突然消失することから胆管炎,膵炎など炎症に伴う経過と異なることが多い,②高アミラーゼ血症があっても画像的には膵炎の様相を認めないことが多い,③胆道造影,MRCPなどにおいてCBDの共通管周囲に透亮像が認められることが多い,④腹痛が遷延する際に胆道内圧を下げる経皮経肝胆管ドレナージ(PTCD)などの処置で症状の改善をきたす,⑤胆管造影では有症状の際の胆道径は無症状のときより有意に太く,蛋白栓の嵌頓による胆道内圧上昇が原因と考えられるなど,蛋白栓が症状発現に強く影響している可能性を示している。
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