特集 先天性胆道拡張症up-to-date
先天性胆道拡張症 戸谷分類の課題―Ⅱ型(憩室型)について―
齋藤 武
1
Takeshi Saito
1
1千葉県こども病院小児外科
pp.850-855
発行日 2022年9月25日
Published Date 2022/9/25
DOI https://doi.org/10.24479/ps.0000000222
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はじめに
先天性胆道拡張症(congenital biliary dilatation:CBD)の病型分類として戸谷分類1)が汎用されているが,これはAlonso-Lejの分類2)を基に肝内胆管拡張例を別枠とし3),膵・胆管合流異常(pancreaticobiliary maljunction:PBM)の概念4)を加味したものである1)。2015年のCBDの診断基準5)では,PBMを伴う戸谷分類Ⅰa, Ⅰc, Ⅳ-Aを「狭義の」CBDと位置づけ,PBMを伴わないとされるⅡ,Ⅲ,Ⅳ-B,Ⅴ型をその対象外とした。これにより「狭義の」CBDの定義,病型と治療が整理され,病態が理解しやすくなった。反面,議論の前提として「狭義」と「広義」のCBDを区別する必要が生じている。「CBDの病型分類としての戸谷分類」というときは,「広義の」CBDであり,先述の「CBDの診断基準」といえば「狭義の」CBDである。本特集の話題の一つである「膵・胆管合流異常のない先天性胆道拡張症」というときの「CBD」は,「(広義の)CBD」という具合であり混乱を生じうる。
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