今月の主題 胆道疾患診療のトピックス
胆道形態異常の病態
先天性胆道拡張症の病態
木村 邦夫
1
,
大藤 正雄
1
1千葉大学医学部・第1内科
pp.674-676
発行日 1985年4月10日
Published Date 1985/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219717
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概念と分類
先天性総胆管拡張症は総胆管の先天的な限局性嚢状拡張と定義され,Douglas(1852)1)により最初に独立疾患として報告された.Alonso-Lejら(1959)2)は多数の文献例と自験例の検討から,拡張胆管の形状に基づき,この疾患を3型に分類した(図1).その後,Alonso-Lejの分類は病態を論ずる際の基本型として受け入れられている.彼の集計例の約30%はわが国からの報告であり,この疾患が東洋に多いとしている.わが国での最初の報告は佐久間(1905)3)によるとされ,その後も文献例と自験例とから本症を検討した詳細な報告が多数みられる4,5).なお,Yotsuyanagi(1936)6)は発生学的に総胆管上皮細胞の増殖異常が原因であるとの説をたて,国内外で高い評価を得ている.
Alonso-Lejは肝内胆管の状態については明記していないが,先天性総胆管拡張症例のなかに肝内胆管にも限局性嚢状拡張を合併する例のあることがその後報告され,Arthur(1964)7)はこのような症例をmultiple biliary cystとし,Alonso-Lejの分類にd型として加えている.成末,戸谷ら(1974)8)も新しい分類を提案している.筆者ら9)もAlonso-Lejの分類に肝内胆管像を加味したA'型,B'型を加えている(図2).
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