特集 子どもの栄養ケアを見直す─分野の垣根を越えて
総論
DOHaD学説と妊娠前から産後の栄養―葉酸・one carbon metabolism(OCM)を中心に
金高 有里
1
Yuri Kintaka
1
1札幌保健医療大学
pp.761-765
発行日 2026年6月1日
Published Date 2026/6/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000003017
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
はじめに
Developmental Origins of Health and Disease(DOHaD)学説は,「受精から胎児期・乳幼児期にかけての環境が,成人期の代謝性疾患や心血管疾患などの発症リスクに長期的影響を残す」という概念である1,2)。Barkerが示した出生体格と成人期疾患の関連1)が報告され,GluckmanとHansonらにより「発達可塑性」「予測適応反応」といった枠組みで整理された2)。近年は,DOHaD学説の説明原理として,胎児期環境がエピゲノム(DNAメチル化,ヒストン修飾など)を介して遺伝子発現のセットポイントを調整するという分子メカニズムが解明されつつある3)。妊娠早期は神経管閉鎖や胎盤形成の初期過程が集中し,妊娠前後の母体栄養状態が母子の身体の状態に反映されやすい時期である。このことから,妊娠が判明した時点では,すでに多くの発生イベントが進行している点は重要である。したがって,妊娠前(プレコンセプション期)から妊娠期,産後までを連続したライフコースとして捉え(図1),ステージに対応した栄養介入を行っていくことが,DOHaD学説に基づいた臨床・公衆衛生実装の鍵となる4)。

© tokyo-igakusha.co.jp. All right reserved.

