特集 止まらない血液・固まりすぎる血液,さてどうする?
各論 疾患や治療に伴う小児の血栓・止血疾患
抗PF4抗体関連疾患―ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)/ワクチン誘発性免疫性血小板減少症・血栓症
金子 誠
1
Makoto Kaneko
1
1三井記念病院臨床検査部
pp.711-715
発行日 2026年5月1日
Published Date 2026/5/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000002994
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はじめに
ヘパリン起因性血小板減少症(heparin-induced thrombocytopenia:HIT)は,ヘパリン曝露数日後に出現する血小板減少と新規または進行性の静脈・動脈血栓症を主徴とする。その病態は,血小板から放出された血小板第4因子(platelet factor 4:PF4)とヘパリンの複合体に対する免疫グロブリン,抗PF4/ヘパリン複合体IgG抗体(いわゆるHIT抗体)が産生され,IgG/PF4免疫複合体によるFcγ受容体を介して血小板や単球,好中球を活性化することで生じる免疫機序による血栓症(immunothrombosis)である1~3)。近年,HITを原型としてワクチン誘発性免疫性血小板減少症・血栓症(vaccine‑induced immune thrombotic thrombocytopenia:VITT)や,感染症や単クローン性ガンマグロブリン血症を契機としたVITT様病態が報告され,「抗PF4抗体関連疾患(anti‑PF4 disorders)」という概念が国際的に用いられるようになっている(図)4)。これらはヘパリン依存性PF4抗体の古典的HITと,ヘパリン非依存性PF4抗体主体のVITT/VITT様病態という,性質の異なる2種類の抗PF4抗体が関与する疾患群として整理されている。

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