特集 小児神経学入門─小児科医必須の神経症候学と治療論
神経症候のみかたと評価・鑑別
自律神経症状
久保田 雅也
1
Masaya Kubota
1
1島田療育センター小児科
pp.446-449
発行日 2026年4月1日
Published Date 2026/4/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000002932
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はじめに
「小児神経学入門─小児科医必須の神経症候学と治療論」の特集ではあるが,多彩な,また時にあいまいな自律神経症状を俎上に載せる前に,生体における自律神経系の機能的位置づけを素描してみたい。系統発生的に自律神経系がいつ備わってきたかについてはまだ議論がある。通説では副交感神経系が先に発生し,系統発生が進むにつれ,生体が生き延びるためにfight or flight responseが必要になり交感神経が後から発生したとの説もあるが,交感・副交感は共通の原始的自律神経ネットワークから分化してきたという説も有力である1)。Fight or flight responseももともとあった恒常性維持システムの一部がストレス対応モードとして強調されるように進化したとみる。いずれにしろ自律神経系は車で言えばアイドリング2),パソコンで言えばオペレーティングシステムに相当する「裏方で環境を整える」,「行為のための準備状態を作る」ことに徹して,「次に何が起こるか」を予測し,そのための身体状態を先に作る系でもある。起立するため,眠るため,休むためのアイドリングシステムである。そこで小児の自律神経系の不全の診断と治療は裏方としての身体性を取り戻すということになる。

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