特集 入門! アタッチメントと小児期逆境体験を知る
3つの臨床像
小児のトラウマ関連障害:分類とそれぞれの臨床像―急性ストレス障害・PTSD・複雑性PTSD
小野 真樹
1
ONO Masaki
1
1愛知県医療療育総合センター中央病院児童精神科
pp.881-885
発行日 2025年7月1日
Published Date 2025/7/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000002470
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はじめに
トラウマとは,こころの「傷」となるような強い苦痛を体験し,その結果として,体験から相当な時間が経過した後でも苦痛や症状が持続してしまうことである。
本稿では,トラウマ関連障害として,米国精神医学会の診断基準であるDSM-5(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, 5th ed)1),またはWHO(World Health Organization)の診断基準であるICD-11(International Classification of Diseases 11th Revision)2)に記載された,急性ストレス障害(または急性ストレス反応)・心的外傷後ストレス障害(PTSD)・複雑性心的外傷後ストレス障害(複雑性PTSD)について述べる。各診断基準では,どのような苦痛を体験したのか(出来事基準),結果としてどのような症状が出現しているのか(症状基準),その症状はどのぐらいの期間持続しているか(症状期間)の,3点について評価することになっている。そして,その組み合わせによって診断名が決定されるように構成されている。

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