症例
1型糖尿病に潰瘍性大腸炎を合併した1例
植村 菜摘
1
,
徳原 大介
1,2
,
柚山 賀彦
1
,
堀田 優子
1,3
,
川村 智行
1
,
濱崎 考史
1
UEMURA Natsumi
1
,
TOKUHARA Daisuke
1,2
,
YUYAMA Yoshihiko
1
,
HOTTA Yuko
1,3
,
KAWAMURA Tomoyuki
1
,
HAMAZAKI Takashi
1
1大阪公立大学医学部小児科
2和歌山県立医科大学医学部小児科
3市立柏原病院小児科
pp.1427-1432
発行日 2024年9月1日
Published Date 2024/9/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000001850
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はじめに
1型糖尿病(T1D)や潰瘍性大腸炎(UC)は免疫制御機能の異常により膵臓や大腸に炎症をきたし病態を形成する免疫介在性炎症性疾患に含まれる。まれではあるが両疾患の合併例がみられ,米国では20歳以下のUC患者488例のうち10例(2%)にT1Dを合併したことが報告されている1)。わが国における両疾患の合併頻度に関する情報はないが,1980年以降に発表された文献を医中誌を用いて検索したところ,UCとT1Dとの合併例は24例(成人例を含む)報告されており2),UCあるいはT1D患者の診療において両者の合併は念頭におく必要があると考えられる。自己免疫疾患の合併時のT1Dでは,ステロイド療法がインスリン量に与える影響に関する報告は少なくない。UCを合併した場合は,ステロイド療法に加えて,絶食を含めたさまざまな栄養療法が治療として併用されることから,血糖管理に難渋することが予想されるが,両疾患の合併例が少ないことからその点に関する情報に乏しい。
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