発行日 2009年5月1日
Published Date 2009/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2009234152
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71歳女。患者は腹痛と下血を発症、全大腸炎型潰瘍性大腸炎と診断され、再燃と緩解を繰返していた。著者らの施設へ紹介入院後、ステロイドならびに抗真菌薬等を数ヵ月間投与されたが改善せず、手術1週間前からステロイドを減量の上、大腸全摘、回腸人工肛門造設術が施行された。しかし、術後4日目に突然39℃を超える発熱を認め、呼吸困難が出現した。血液検査ではCBCおよびCRPの上昇、低酸素血症がみられ、画像所見では両側肺野にび漫性スリガラス陰影とconsolidationの混在する広範な陰影が認められた。また、喀痰からはMRSA、Aspergillus fumigatusが多数同定され、linezolid、amphotericin Bの投与が開始された。以後、手術から6日目には肝機能の悪化、FDPの上昇、低酸素血症の増悪が生じ、人工呼吸管理となり、気管支洗浄液からはPCR法でPneumocystis carinii陽性が確認された。以上より、本症例はカリニ肺炎と診断され、直ちにpentamidineの吸入、ST合剤の内服をはじめ集学的治療が行なわれたが、症状は改善せず、患者は最終的に術後25日目に死亡となった。
©Nankodo Co., Ltd., 2009