特集 完全把握をめざす小児の心疾患
先天性心疾患(各論)
総肺静脈還流異常症
石井 卓
1
ISHII Taku
1
1東京医科歯科大学小児・周産期地域医療学講座
pp.571-574
発行日 2024年4月1日
Published Date 2024/4/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000001611
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疾患の概要
総肺静脈還流異常症(total anomalous pulmonary venous connection:TAPVC)は,肺静脈が左房と交通せず体静脈あるいは右房に還流する疾患である。疾患頻度は地域や報告により異なるが,10万人出生あたり7.1~9.5人,全先天性心疾患のうち1.2~1.9%とされている1)。発生学的には,左房から萌出する肺静脈原基と肺原基周囲に形成される肺静脈叢の交通が形成されず,肺静脈と近傍の体静脈との間で交通が形成されることで生じる2)。TAPVCは孤立性に生じるものと,内臓錯位症候群に合併するものがあるが,本稿では孤立性に絞って述べる。
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