特集 小児科医が知っておくべき筋疾患診療:遺伝学的理解と治療の最新事情
代表的筋疾患
筋強直性ジストロフィー―遺伝学的理解と治療開発の最新事情
高橋 正紀
1
TAKAHASHI Masanori P.
1
1大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻臨床神経生理学
pp.1923-1927
発行日 2023年12月1日
Published Date 2023/12/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000001428
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はじめに
筋強直性ジストロフィーは,おそらく現在ではもっとも頻度の高い遺伝性筋疾患である。“the most variable of all human disorders” と臨床遺伝学の泰斗であるPeter Harperがよんだように,その症状・重症度など臨床像がきわめて多様である1)。筋症状以外に不整脈,高次機能障害,白内障,耐糖能異常,腫瘍などさまざまな障害を伴う全身疾患である。顕性(優性)遺伝をとり家族内集積性が高く,リピートの不安定性により次世代で重症化するという,表現促進現象を認め,先天型からほぼ無症状の軽症型まで重症度もさまざまである。異常RNA蓄積によるスプライス異常症としての機序が明らかになり,根本治療開発が進展している。
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