特集 小児科医が知っておくべき筋疾患診療:遺伝学的理解と治療の最新事情
総論2:筋疾患の遺伝学的理解の進歩
筋疾患の遺伝カウンセリングのポイント
加藤 環
1
,
齋藤 加代子
1
KATO Tamaki
1
,
SAITO Kayoko
1
1東京女子医科大学ゲノム診療科
pp.1889-1893
発行日 2023年12月1日
Published Date 2023/12/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000001421
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はじめに
デュシェンヌ型筋ジストロフィー(Duchenne muscular dystrophy:DMD)1)と筋強直性ジストロフィー1型(myotonic dystrophy type 1:DM1)2)は頻度の高い筋疾患である。DMDは,X連鎖性潜性(劣性)疾患であり,患者の血縁者女性の保因者診断の場面などで,またDM1は表現促進現象があるために,同じ家系においても臨床症状の幅が大きく,糖尿病などの全身症状もあることから,遺伝カウンセリングの意義は大きいと考えられる。出生前診断や発症前診断につながるケースもあるため,遺伝カウンセリングのなかでも心理社会的なサポートがひときわ重要であり,症例ごとにクライエントの背景と心理状態を見極めながら慎重に進めていかなくてはならない。主治医,臨床遺伝専門医,認定遺伝カウンセラー,臨床心理職,看護職,ソーシャルワーカーなど,多職種のスタッフが連携できる体制のもとで対応すべきである。疾患についての詳細は本特集の他稿を参照されたい。
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