症例
頻回の血小板輸血を必要とした2種類の抗体を有する新生児同種免疫性血小板減少症の1例
井村 求基
1
,
鈴木 沙耶香
1
,
川瀬 泰浩
1
,
金村 英秋
1
IMURA Motoki
1
,
SUZUKI Sayaka
1
,
KAWASE Yasuhiro
1
,
KANEMURA Hideaki
1
1東邦大学医療センター佐倉病院小児科
pp.1817-1822
発行日 2023年11月1日
Published Date 2023/11/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000001400
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はじめに
新生児同種免疫性血小板減少症(neonatal alloimmune thrombocytopenia:NAIT)は,赤血球血液型不適合と同様に母親が児の血小板抗原に対して抗体を産生し,その抗体が胎盤経由で児に移行し,児の血小板を破壊することで血小板減少をひき起こす病態である。SveigaardらによるNAITの診断基準は,① 母体には特発性血小板減少性紫斑病(idiopathic thrombocytopenic purpura:ITP)などの血小板減少症はなく,児は一過性血小板減少をきたす,② 第1子から血小板減少をみる,③ 感染やその他の新生児紫斑病を除外できる,④ 患児の血小板と反応するIgG同種抗体(血小板抗体)が母体の血清中に証明されること,とされており,上記を満たす場合にNAITと診断するが,とくに ④ が重要である。NAITは妊娠1000~3000に1例の頻度とされており,重症な症例では脳出血を起こす可能性も指摘されている。
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