トピックス
抗リン脂質抗体による血小板減少
藤村 欣吾
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1広島大学原爆放射能医学研究所病態治療研究部門臨床第一(血液内科)研究分野
pp.536-538
発行日 1996年6月1日
Published Date 1996/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543902717
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1.抗リン脂質抗体とは
種々のリン脂質-蛋白複合体に対する抗体で,その中にはlupus anticoagulant(LA)と抗カルジオリピン抗体(anticardiolipin antibody;aCL)が知られている.LAは免疫グロブリンでプロトロンビン-リン脂質複合体を認識し,リン脂質依存性凝固反応を抑制するが,なかにはプロトロンビンと結合し,陰性荷電リン脂質へのプロトロンビンの結合を障害するものもある.これらの抗体は当初,全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus;SLE)症例において見いだされたためlupus anticoagulantといわれているが,必ずしもSLEに限って認められる抗体ではない.抗カルジオリピン抗体は直接陰性荷電リン脂質であるカルジオリピンに結合するのではなく,β2-GPIが陰性荷電リン脂質に結合して生ずるエピトープを認識する.カルジオリピンはプロコアグラント機能を持たないが,抗カルジオリピン抗体はβ2-GPIの存在下でプロコアグラント機能を有する,例えばホスファチジルセリン(phosphatidylserine;PS)のような陰性荷電リン脂質と結合し,リン脂質依存性凝固反応を抑える(aCL-Type A).これに対しaCL-Type Bは凝固活性を抑える機能を持たない.
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