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特集 エキスパートが教える 小児の薬物治療
Ⅲ.疾患別
B.感染症
伝染性膿痂疹
Impetigo
小松 充孝
1
Mitsutaka Komatsu
1
1賛育会病院小児科
キーワード:
伝染性膿痂疹
,
黄色ブドウ球菌
,
A群β溶血性連鎖球菌
Keyword:
伝染性膿痂疹
,
黄色ブドウ球菌
,
A群β溶血性連鎖球菌
pp.349-352
発行日 2023年11月30日
Published Date 2023/11/30
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000001245
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1 疾患概念
伝染性膿痂疹は表在性の皮膚細菌感染症であり,主に2~5歳の小児に発症する。毎年夏に流行し,罹患率は約1~2%である。臨床像として黄色ブドウ球菌およびA群β溶血性連鎖球菌(group A streptococcus:GAS)によって発症する痂皮性(非水疱)膿痂疹(約70%)と,表皮剝離毒素(exfoliative toxin)を産生する黄色ブドウ球菌のみが原因となる水疱性膿痂疹(約30%)の2つに大きく分けることができる1)。通常,黄色ブドウ球菌やGASは鼻腔や腋窩,咽頭,会陰部などに保菌されており,皮膚の傷(汗疹,虫刺症,湿疹など)などバリア機能が低下した部位に二次感染し発症することが多い(二次性膿痂疹)が,傷のない皮膚に直接細菌が感染し発症(一次性膿痂疹)することもある。また高温多湿,不衛生な環境,栄養不良や糖尿病などがリスク因子2)として挙げられる。感染性が強く,「とびひ(飛び火)」の俗称のごとく,隣接する部位に手指や衣類などを介して容易に病変が拡大する。
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