特集 小児の心身症~いま改めて心身相関を考える~
各論:診療の実際
心因性難聴(PHL)と聴覚情報処理障害(APD)
芦谷 道子
1,2
,
石﨑 優子
2
ASHITANI Michiko
1,2
,
ISHIZAKI Yuko
2
1滋賀大学教育学系
2関西医科大学
pp.1035-1039
発行日 2023年6月1日
Published Date 2023/6/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000000973
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はじめに
心因性難聴(psychogenic hearing loss:PHL)とは,器質的疾患を伴わず発症の背景因子に心理的要因が関与するとされる身体症状症の一種である。ほかにも非器質性難聴(non-organic hearing loss:NOHL),機能性難聴(functional hearing loss:FHL)などとよばれることもある。NOHLやFHLには,なんらかの意識的,意図的要因が絡む詐聴(auditory malingering)と,無意識的な心因性難聴の2つの病態が含まれ,成人においては両者の判別が重要となる。しかし小児の場合はほとんど詐聴がみられず,NOHLやFHLとPHLがほぼ同義に捉えられており1),無意識的な心因への対応が治療上重要となる。
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