特集 新しい時代の小児感染症
各論:原因微生物別
ウイルス
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)
田中 瑞恵
1
TANAKA Mizue
1
1国立国際医療研究センター小児科
pp.659-663
発行日 2023年4月1日
Published Date 2023/4/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000000870
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はじめに
ヒト免疫不全ウイルス(human immunodeficiency virus:HIV)は,主にCD4陽性Tリンパ球(CD4)とマクロファージ系の細胞に感染するレトロウイルスである。HIVに感染すると進行性に免疫系が破壊されて,適切な治療がなされなければ,最終的には,後天性免疫不全症候群(acquired immunodeficiency syndrome:AIDS)を発症する。AIDSはHIV感染による免疫機能の低下に伴い,指標疾患を発症した場合と定義されている1)。したがって,HIV感染症では,免疫機能の低下はあるがAIDSの発症はしていないHIV感染にとどまっている状態と,AIDSを発症している状態とに分けられる。
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