特集 新しい時代の小児感染症
各論:原因微生物別
ウイルス
日本脳炎ウイルス
竹下 望
1
TAKESHITA Nozomi
1
1国立感染症研究所研究企画調整センター
pp.655-657
発行日 2023年4月1日
Published Date 2023/4/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000000868
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概 要
日本脳炎ウイルス(Japanese encephalitis virus:JEV)は,主にコガタアカイエカによって媒介され,ウイルス性脳炎の一つである日本脳炎の原因となる。日本脳炎は,風土病として流行している地域は南アジアから東アジアとオセアニアの一部を含み,推定で毎年68000人の症例があるとされている1)。国内では,昭和41(1966)年には約2000例の症例が報告されたが,その後は減少し,平成4(1992)年以降は毎年10名以下と大きく減少した2)。多くは西日本での発症であるが,関東地方,中部地方での報告もみられる3)。感染者の大半は無症候だが,1~2週間の潜伏期を経て発症すると致命率は約20~40%で,発症者の半数には後遺症が残る2)。治療方法は対症療法のみであり,ワクチンによる予防が有効であるため,日本を含めた一部日本脳炎蔓延地域では定期予防接種として導入されている。
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