疾患と検査値の推移
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症,後天性免疫不全症候群(AIDS)
戸田 祐太
1
1国立国際医療研究センター国際感染症センター,エイズ治療・研究開発センター
pp.1202-1210
発行日 2019年10月1日
Published Date 2019/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543207779
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●HIV感染はヒト免疫不全ウイルス(HIV)というウイルスへの持続感染を表す用語で,HIV感染者のうち免疫低下のために,後天性免疫不全症候群(AIDS)指標疾患(23種類の日和見感染症)を合併した患者をAIDS発症患者と呼ぶ.
●日本では,HIV感染者およびAIDS患者の新規報告数は,2007年頃をピークに横ばい〜やや減少傾向となっている.感染経路は,当初は血液製剤による感染が主体であったが,1990年以降は性感染症,特に同性間の性的接触による感染が拡大し,いまでは約70%以上を占めている.
●HIV感染症の臨床病期は,急性感染期・無症候期・AIDS発症期に大別される.急性感染期または無症候期に診断され,早期に治療開始されれば,高い免疫力を維持できるため,無症状のままの生活を継続し,非感染者と同等の余命が期待できる.
●HIV診療に重要な検査数値として,CD4陽性リンパ球(CD4)数とHIV RNA量(ウイルス量)があり,CD4数が免疫機能の指標として重要である一方,ウイルス量は治療薬の効果判定に重要である.
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