特集 新しい時代の小児感染症
各論:感染臓器別
心血管感染症
感染性心内膜炎
清水 彰彦
1
SHIMIZU Akihiko
1
1群馬県立小児医療センター感染症科,感染対策室
pp.541-544
発行日 2023年4月1日
Published Date 2023/4/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000000836
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疫 学
感染性心内膜炎(infective endocarditis:IE)は,死亡率が高い疾患であるが,小児において非常にまれである。発生率は,10万小児人口・年あたり,0.34~0.64と推定されている1)。発症時期は,乳児期と思春期後半に多い1)。近年,先天性心疾患(congenital heart disease:CHD)の患者の生命予後が改善したため,小児におけるIE発症の最大のリスク因子はCHDとなっている。CHD児のIE発症リスクは,一般人口の14~140倍と報告されている2)。IEを発症した際,合併症の発症率や死亡率もCHD児のほうが高い。かつては,リウマチ熱がIEの基礎疾患として最多であったが,現在,わが国を始めとする先進国ではきわめてまれである。男女比では,男児のほうがIEの発症率が高い(男女比1.2:1)1)。中心静脈カテーテルなどの血管内デバイス留置,ペースメーカー留置,免疫抑制者(とくに悪性腫瘍治療中や造血幹細胞移植後)などもIE発症のリスク因子となる3)。
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