特集 分子標的薬を極める
各論
アレルギー疾患 アトピー性皮膚炎・蕁麻疹
鎌田 昌洋
1
KAMATA Masahiro
1
1帝京大学医学部皮膚科学講座
pp.236-241
発行日 2023年2月1日
Published Date 2023/2/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000000766
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はじめに
アトピー性皮膚炎は,くり返す湿疹病変と強い瘙痒を伴い患者のQOLを障害する。アトピー性皮膚炎領域においても分子標的薬が次々と登場しており,新規薬剤の開発も進んでいる。近年,外用剤ではヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬であるデルゴシチニブ(コレクチム®)軟膏,ホスホジエステラーゼ(PDE)4阻害薬であるジファミラスト(モイゼルト®)軟膏が,内服薬ではJAK1,2選択的阻害薬であるバリシチニブ(オルミエント®),JAK1選択的阻害薬であるウパダシチニブ(リンヴォック®)とアブロシチニブ(サイバインコ®)が,生物学的製剤では抗IL-4受容体α抗体であるデュピルマブ(デュピクセント®),抗IL-31受容体A抗体であるネモリズマブ(ミチーガ®)が上市された(表1)。また,2022年12月に抗IL-13抗体であるトラロキヌマブ1)が承認された。慢性特発性蕁麻疹は抗ヒスタミン薬内服が治療の中心であるが,難治な症例では抗IgE抗体であるオマリズマブ(ゾレア®)が投与可能である(表1)。また,将来有望な薬剤として選択性の高い経口ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬remibrutinibの臨床試験が進んでいる2)。薬剤により投与可能年齢は異なっている点に注意が必要である。現在,一部の薬剤においては小児患者への適応拡大のための臨床試験が進んでおり,今後,小児患者にも投与可能な薬剤が増えていくことが期待される。本稿では,各薬剤の特徴を小児のデータを中心に簡潔に述べる。
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