特集 コロナ禍でのグローバルヘルス
各論:アジア諸国の対応
ラオスのCOVID-19対応―検査体制の構築と検疫体制について
石上 盛敏
1,2
IWAGAMI Moritoshi
1,2
1国立国際医療研究センター研究所 熱帯医学・マラリア研究部
2Institut Pasteur du Laos, Ministry of Health
pp.65-69
発行日 2023年1月1日
Published Date 2023/1/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000000731
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はじめに
東南アジア最貧国のラオス人民民主共和国(ラオス)は,日本の本州とほぼ同じ国土面積に,約730万人のラオス人が暮らす多民族国家である1)。その民族数は約50といわれている。政治体制はラオス人民革命党による一党独裁体制が敷かれている社会主義国家であるが,宗教を認めておりラオ族は仏教を,そのほかの民族は土着の宗教を信仰している(精霊信仰)2)。ラオスの保健医療に関しては,日本,欧米諸国,中国,タイなどが病院建設や医療の質向上に貢献しているが,大きな事故や病気の際は,隣国のタイの病院へ搬送されることが一般的である。ラオスの新生児死亡率(18/1000),乳児死亡率(40/1000),幼児死亡率(46/1000)は改善しているものの,さらなる改善が望まれる3)。なお2022年現在,国家健康保険が一部の地域で導入されている。
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