特集 食品衛生の新しい動向
輸入食品の安全対策—検疫所におけるチェック体制
稲葉 博
1
Hiroshi INABA
1
1成田空港検疫所
pp.592-595
発行日 1991年9月15日
Published Date 1991/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401900412
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■はじめに
今やわが国の食生活は戦後の食糧不足の混乱からは予想もできないほど豊かになった.豊かさが増してくると人々は,必然的にその質的向上を求めることとなる.食品の安全性への関心の高まりもその一つの表れであり,人々は問題意識を持ち,しかもそれが,日常生活レベルのこととして定着してきている.それはここ数年の食品の安全性に関する消費者運動の流れをみても理解できよう.一方,外国から輸入される食品は,後に触れるように増加をしている.これらは国内で生産される食品と比べて,その生産地の気候風土,生産状況,製造加工の実態,保管,輸送状況等が必ずしも明らかなものが多いとはいえないことから,輸入食品の安全性確保に関する社会的な関心はますます強くなってきている.
本稿では,わが国の輸入食品の安全性確保の最前線の現状について解説を試みたい.
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