特集 成人患者における小児期発症慢性疾患
序―成人期の小児期発症慢性疾患と小児科医
賀藤 均
1
KATO Hitoshi
1
1賛育会病院
pp.1474-1475
発行日 2022年9月1日
Published Date 2022/9/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000000372
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2021年に,東京都内3地区で2002~2004年の間に出生した10歳小児のコホート調査で,米国でいうchildren with special health care needs(CSHCN)は12.5%であったと報告された1)。CSHCNは,意訳すれば「小児期発症慢性疾患をもった小児」とほぼ同義であり,こころの問題,発達障害をもつ小児も含まれる。米国での2017~2018年のデータでは,CSHCNは対象年代人口の18.5%で,約4世帯に1世帯の割合で存在しているとの報告がある2)。時期は異なるものの,わが国では,まだCSHCNの頻度は米国より若干少ないようではある。それでも,わが国の約8人に1人の小児がなんらかの医療的ケアが必要ということになる。これらの小児の多くが成人になっても医療的ケアの継続が必要となる。そのためには,成人に達した小児期発症慢性疾患をもつ患者に対しもっとも相応しい医療を提供するためのトランジション(移行)が必要となる。トランジションを切れ目なくスムーズに行うには,医療的側面に加えて,就学・就労を含め自律・自立した成人になるための支援が必要である。しかし,わが国のトランジションの体制は,まだ整備の途中といわざるをえない。
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