特集 気管支喘息のガイドラインを実臨床に生かす―こんなときどうする?
トピックス
黄砂と喘息
村井 宏生
1,2
MURAI Hiroki
1,2
1福井大学医学系部門医学領域小児科学
2みたき総合病院小児科
pp.825-827
発行日 2022年5月1日
Published Date 2022/5/1
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000000178
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はじめに
黄砂は東アジア内陸部のゴビ砂漠,タクラマカン砂漠やそのほかの乾燥,半乾燥地域で強風によって巻き上げられた多量の土や鉱物粒子が偏西風により運ばれ,降下する現象である。わが国においては主に2月から5月に観測されることが多く,飛散量は発生域の強風や,地表面の状態,上空の風の強さなどに左右される1,2)。黄砂はわが国のみではなく,台湾,韓国などの東アジアの広い範囲において発生する。黄砂の性状は各国において異なり,発生地に近い中国内陸部では4.7~7μm程度の比較的大きな砂の粒がその主成分を占めるが,わが国に飛来する黄砂は長距離の浮遊により大きな粒子が省かれ,4μm程度の粒子径が大半を占める1,2)。近年,黄砂による健康被害が注目されている。本稿ではそのなかでも黄砂と喘息の関係についてフォーカスを当てて,解説を行う。
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