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出生前ステロイド療法の功罪
出生前ステロイド(antenatal corticosteroid:ACS)療法による早産児での肺成熟効果が報告されてから50年以上が経つ1)。世界的に「ベタメタゾン12 mgを24時間ごとに2回」もしくは「デキサメタゾン6 mgを12時間ごとに4回」という投与方法が標準的な投与方法とされている。コクランレビューによれば,ACS療法は周産期死亡(リスク比[95%信頼区間],0.85[0.77,0.93]),新生児死亡(0.78[0.70,0.87]),新生児呼吸窮迫症候群(respiratory distress syndrome:RDS)(0.71[0.65,0.78]),脳室内出血(intraventricular hemorrhage:IVH)(0.58[0.45,0.75])のリスクを低減すると報告されている2)。しかし,その効果は投与後24時間から1週間と限定的である。そのため過去には,投与から1週間以内に分娩に至らない場合に1週間ごとに投与することも検討されたが,出生体重の増加を抑制するといった副作用の点から,米国ではレスキュー投与としての2コース目のみを容認している3,4)。1コースのみであれば出生体重に影響はないとされるが,潜在的な胎児への影響は無視できない2)。フィンランドのコホート研究では,ACS療法を行った母体と行っていない母体から生まれた児の6歳前後までの発達を比較している。早産児においては精神および行動障害に差はなかったが,正期産で生まれた場合はACS療法により精神および行動障害が増えると報告している5)。メタアナリシスによれば,おおよそ40%がACS療法後,妊娠34週以降の分娩となっており,新生児低血糖やNICU入院が有意に増え,小児期の精神および行動障害が増えることが指摘されている6)。このように,適切に投与された場合の効果は明らかであり新生児予後を改善するが,適切なタイミング,すなわち早産時期を予測するという点では未だ課題が残る。

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