特集 周産期のステロイド
臨床編:産科
出生前ステロイド投与の実際
村越 毅
1
MURAKOSHI Takeshi
1
1聖隷浜松病院総合周産期母子医療センター産科
pp.34-37
発行日 2022年1月10日
Published Date 2022/1/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000000007
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はじめに
早産児における未熟性およびそれに起因する疾患を改善および予防するために,出生前ステロイド投与(antenatal corticosteroid therapy:ACS)が推奨されている。ACSにより早産児の肺成熟を促進し呼吸窮迫症候群(respiratory distress syndrome:RDS)のみならず,脳内出血,壊死性腸炎,敗血症,新生児死亡の発生率を減少させることが期待できる。また,ACSは早産児のRDSの発症率および重症度,死亡率を減少させることが20数件の無作為比較試験により確認されている1)。その後の臨床試験でもACSが早産児の循環動態を改善し,結果として脳出血や壊死性腸炎の発症率が未投与の早産児に比べて低下することが示された。ACSは各国のガイドラインでも採用されており2~4),わが国でも産婦人科診療ガイドライン産科編2008年版より推奨されている5,6)。
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