特集 周産期のステロイド
臨床編:産科
出生前ステロイド投与と新生児の予後
宮沢 篤生
1
MIYAZAWA Tokuo
1
1昭和大学医学部小児科学講座
pp.38-40
発行日 2022年1月10日
Published Date 2022/1/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000000008
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はじめに
早産が予測される母体に対する出生前ステロイド(antenatal corticosteroids:ACS)投与は胎児の肺成熟を促し新生児呼吸窮迫症候群(RDS)を予防するだけでなく,脳室内出血(IVH),脳室周囲白質軟化症(PVL),壊死性腸炎(NEC)など早産児特有の合併症,死亡リスク,長期的な神経学的予後にも影響を及ぼすことが示されている。わが国では2009年11月よりベタメタゾン(リンデロン®)の効能効果として「早産が予想される場合における,母体投与による胎児肺成熟を介したRDSの発症抑制」が追加承認され,保険適用となっている。わが国の産婦人科診療ガイドライン産科編2020では「妊娠24週以降34週未満の早産が1週間以内に予想される場合(推奨度B)」および「妊娠22週以降24週未満の早産が1週間以内に予想される場合(推奨度C)」には,児の肺成熟やIVH予防を目的として,母体にベタメタゾン12mgを24時間ごと,計2回,筋肉内投与することが推奨されている1)。
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