特集 周産期の薬物療法 update 2025 新生児編
各論:呼吸器治療薬
NO吸入療法
徳増 智子
1
TOKUMASU Satoko
1
1倉敷中央病院小児科
pp.1082-1084
発行日 2025年9月10日
Published Date 2025/9/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000002287
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はじめに
一酸化窒素吸入(inhaled nitric oxide:iNO)療法は,1990年代以降,新生児領域で広く用いられるようになった治療法であり,特に新生児遷延性肺高血圧症(persistent pulmonary hypertension of the newborn:PPHN)の第一選択薬として位置づけられている。日本では2008年に低酸素性呼吸不全を伴う肺高血圧に対して承認され,2015年には先天性心疾患の手術周術期の肺高血圧改善に対する効能効果が追加承認された1,2)。欧米諸国でも広く使用されており,有効性と安全性については多くの臨床試験やメタ解析で支持されている。しかし,すべての症例に効果があるわけではなく,特に早産児や気管支肺異形成症(bronchopulmonary dysplasia:BPD)予防目的での使用についてはエビデンスが十分ではない3,4)。適応を正しく判断し,診断に基づいた慎重な使用が求められる。

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