特集 周産期救急システム―初期対応と災害対策
母体救急発症時の対応 重症感染症(敗血症,劇症型A群溶連菌感染症,新興感染症)の初期対応
長谷川 潤一
1
HASEGAWA Junichi
1
1マリアンナ医科大学大学院医学研究科周産期発生病態解明学分野
pp.698-702
発行日 2025年6月10日
Published Date 2025/6/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000002178
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妊産婦に多い感染症
妊産婦に多い感染症としては,いわゆる産褥熱である子宮内膜炎,腎盂腎炎などの泌尿器系の感染症,乳腺炎などがある。子宮は体腔内の無菌の臓器ではないこと,血液が貯留しやすいことなどから感染源になりやすい。妊娠中にも絨毛膜羊膜炎が重症化し,母児の安全のため分娩を余儀なくされることがある。帝王切開も創部や経腟的な細菌感染で術後感染症を起こすことがある。妊産婦に発熱や腹痛などの症状がある場合は,これらの感染症の原因を精査し,抗菌薬などの治療を速やかに開始する。多くは数日で軽快するものであるが,そうでない例では重篤な敗血症に至る可能性を考慮し,速やかな専門的な治療を開始する。

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