Japanese
English
症例報告
右大腿部壊死性筋膜炎を発症した劇症型A群溶連菌感染症の1例
A case of toxic shock-like syndrome with necrotizing fasciitis on the right femur
紀平 麻帆
1
,
石川 理穂
1
,
吉村 真理子
2
,
風戸 孝夫
2
Maho KIHIRA
1
,
Riho ISHIKAWA
1
,
Mariko YOSHIMURA
2
,
Takao KAZETO
2
1岐阜県立多治見病院皮膚科
2岐阜県立多治見病院形成外科
1Division of Dermatology, Gifu Prefectural Tajimi Hospital, Tajimi, Japan
2Division of Plastic Surgery, Gifu Prefectural Tajimi Hospital, Tajimi, Japan
キーワード:
壊死性筋膜炎
,
劇症型A群溶連菌感染症
Keyword:
壊死性筋膜炎
,
劇症型A群溶連菌感染症
pp.1099-1102
発行日 2012年12月1日
Published Date 2012/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412103492
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要約 67歳,男性.関節リウマチの既往あり,トシリズマブにて治療中.初診2日前より右大腿部腫脹を自覚し改善ないため当院を受診した.受診後数時間で患部が暗紫色に壊死し,壊死性筋膜炎の診断で緊急入院した.デブリードマンを施行した.DICおよび敗血症性ショックを併発し,病変部と血液培養よりA群溶連菌を認めた.ペニシリンG大量投与とクリンダマイシンの2剤併用療法と連日創部処置を施行.全身状態安定後,分層植皮術を二度施行した.術後経過は良好で,患肢を温存できた.患者の救命においては,早期診断と感受性のある抗生剤の投与,迅速なデブリードマンなどの早期治療が非常に重要であると考える.なお,本症例では初診時にトシリズマブ投与中のためCRPが上昇しにくいということへの注意が欠けており,そのために壊死性筋膜炎の発見・診断に遅れが生じた.生物学的製剤使用の患者では症状や検査所見などのわずかな変化にも注意が必要であり,健常人に比べより慎重な判断を要する.
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