特集 多胎妊娠2025
一絨毛膜二羊膜性(MD)双胎の多様な合併症 一児発育不全(selective FGR)
村田 晋
1
MURATA Susumu
1
1山口大学医学部附属病院総合周産期母子医療センター
pp.293-297
発行日 2025年3月10日
Published Date 2025/3/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000002062
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はじめに
膜性を問わず,双胎の一児が胎児発育不全(FGR)であるものを一児発育不全(selective FGR)とよんでいる。児それぞれが固有の胎盤をもつ二絨毛膜性(DD)双胎でもselective FGRが発生しうるが,病態としてより複雑なのは一絨毛膜二羊膜性(MD)双胎におけるselective FGRであり,selective FGRという用語は狭義ではMD双胎に限定し使用されている。selective FGRの主な原因はそれぞれの児の胎盤占有面積の不均衡とされている。FGRの児は大きい児(または正常発育児)に比べ胎盤占有面積が小さいこともあり,低酸素状態や胎児死亡,新生児死亡のリスクが高いことが問題となる。特に胎児期では一絨毛膜性双胎特有の胎盤吻合血管が介在するため,FGR児のみではなく大きい児にも影響が及ぶことがある。このことがselective FGRの周産期管理を複雑化している要因である。

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