特集 周産期の画像診断 第3版
新生児編 Ⅴ.注目の画像診断
MR定量画像
長谷川 龍志
1
HASEGAWA Tatsuji
1
1京都府立医科大学附属病院小児科・周産期診療部
キーワード:
拡散テンソル画像
,
diffusion tensor imaging
,
tractography
,
早産児
,
神経発達予後
Keyword:
拡散テンソル画像
,
diffusion tensor imaging
,
tractography
,
早産児
,
神経発達予後
pp.543-547
発行日 2024年12月23日
Published Date 2024/12/23
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000001916
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MR定量画像について
頭部MRIはハイリスク新生児の神経発達予後を予測するため有用な検査であり,早産児(特に極低出生体重児)においてはほぼ全施設で,NICU退院前に頭部MRIを評価しているのではないであろうか。しかし,超早産児においてはNICU退院前の頭部MRIで明らかな大脳白質障害を認めない児のうち15%が将来の神経発達予後に影響し,脳性麻痺や神経発達症を認めるとされている1)。逆にMRIで中枢神経に異常があり,後遺症の可能性が高いと予想されたハイリスク児が定型発達となるということも,フォローアップしている小児科医が経験するところである。近年では脳室周囲白質軟化症(periventricular leukomalacia:PVL)や重症の脳室内出血(intravenricular hemorrhage:IVH)が減少し,早産児の後遺症は粗大運動に問題を抱える脳性麻痺よりも,神経発達学的後遺症は自閉症スペクトラム症や注意欠如多動症などの神経発達症の方へ注目が移ってきている。これは従来のMRIでは捉えきれない微細な脳障害が影響していると予想される。早産児における従来の頭部MRIの評価方法としては,Kidokoro score2)が有名であり,非常に多くの臨床研究論文で引用されスコアリング化がなされている。ただ微細な異常は読影する者によって正常なのか,異常なのかの評価により左右されるため客観性が乏しくなってしまう場合が出てくる。この問題点を解決しようとするのがMR定量画像である。
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