特集 周産期の画像診断 第3版
母体・胎児編 Ⅰ.超音波診断 G.胎盤・臍帯・羊水
臍帯異常
向井 健人
1
,
花岡 有為子
1
MUKAI Kento
1
,
HANAOKA Uiko
1
1香川大学医学部母子科学講座周産期学婦人科学
キーワード:
臍帯付着部異常
,
臍帯捻転
,
臍帯脱出
,
単一臍帯動脈
,
静脈瘤
Keyword:
臍帯付着部異常
,
臍帯捻転
,
臍帯脱出
,
単一臍帯動脈
,
静脈瘤
pp.197-201
発行日 2024年12月23日
Published Date 2024/12/23
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000001843
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臍帯とは1)
臍帯は,胎児と母体をつなぎ,臍帯のなかを流れる臍帯血管により胎児と胎盤との血液循環を維持している唯一の構造である。妊娠・分娩中におけるトラブルの原因として臍帯が関わるものも多く,新生児予後と大きく関連する。そのため,臍帯にはこの重要な臍帯血管を守るための生理的なメカニズムが多数備わっている。臍帯は内部に2本の臍帯動脈と1本の臍帯静脈が通り,これら血管はWharton’s jelly(ワルトン膠質)に包まれ螺旋状に捻転している。このWharton’s jellyの弾性力により臍帯血流の遮断を防ぎ,生理的な捻転により臍帯の可動性を損なうことなく,牽引や圧迫などの外力の影響を緩和する役割を果たしている。また,臍帯・胎児が羊水中に浮遊して存在することにより,臍帯・胎児の可動性をよくし,圧迫を避けることができる。臍帯動脈が2本存在するのは,胎児と胎盤の血流を安定させるためと考えられている。このような臍帯の生理的な防御機構が破綻した状態が臍帯異常であり,胎児に影響を与える可能性がある。
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